フォトエッセイ番外編 〜”祈りの壁”は何処?

Roman Holiday

"The wall where wishes come true"

ローマの休日」、50年ほど前に撮影されたこの映画は、永遠の都ローマを舞台に切ないラブストーリーが展開する作品。この作品中、アン王女と新聞記者のジョーが訪れた場所は実際のローマの街に点在し、観光客もたくさん訪れている。

そんなローマの観光スポットを巡るかのような「ローマの休日」の中で、その所在がはっきりしない「祈りの壁」を探してみた。

Viale del Policlinico 「神の愛の聖母」 の祠

★「祈りの壁」

映画では、サンタ・マリア・イン・コスメディン教会 (「真実の口」のシーン)の後に、訪れる場所。

「祈りの壁」という名称は、壁を訪れるシーンでは出てきておらず、壁にあるマリア像と周りの御札のようなものについて、その由来を説明するだけ。

ラストシーン直前、隠し撮りした写真を見る場面で、壁を見つめるアン王女の写真に、”The wall where wishes come true (望みの叶う壁)” というタイトルをジョーがつける。

だから、正確にいえば、壁そのものの名称ではないということになる。

Viale del Policlinico 「神の愛の聖母」 の祠
(内部)


「祈りの壁」の位置についての情報

所在がはっきりしない”壁”。ローマの街を囲む城壁のどこかではないかと思われるが、その位置については「ここではないか?」という説がいくつかある。

  • 国立図書館の北側、Viale del Policlinico 通り (『旅のネタ本1・ヨーロッパ編』 国際地学協会)
    → ページ内の写真および、下のレポート参照
    → 並木道が広くて長い、路電が走っていた、壁の向かい側にはVILLAがある、道路の奥には18世紀風の高い建物がある、などの点から、もしかしたら、ポリクリニコ通りではないかもしれません。画面にバス停が映っていて、fermataの下に名前のようなものが書かれています。sではじまっていて途中にもsが二文字並んでいるんですが・・・ (はにわさん)
  • カラカラ浴場からアッピア街道へ抜けるサン・セバスティアーノ門付近の城壁
  • 午後、使徒パウロが殉教した場所に建てられたという、トレ・フォンターネ教会を訪問する。(中略)わたしは『ローマの休日』という映画の大ファンであり、(中略)ただ一カ所、板や紙に願いを書いて聖母マリアにささげる場所だけがどこにあるのかわからなかった。 (中略) ところが、トレ・フォンターネ教会の道を隔てた反対側の森の中にその場所があったのである。背景は違っているが、状況としてはまさにここである。(『システィーナのミケランジェロ』75〜76頁 青木昭 著 小学館、1995年)
    → 「サン・パオロ・アッレ・トレ・フォンターネ教会」の場所は、カラカラ浴場の真下(南)から 南東に伸びるアッピア街道の左側に南西に伸びるヴィア・コロンボを下り ナビゲートリ広場を経て更に南西へ2.5キロ弱すすむと4差路にでるので 左前方の大きな道をすすみさらに、1キロ強進んだ左手に位置します。(ラウレンティーナ街道ぞい)地下鉄でゆくならB線のマリア−ナ/EURマルコーニが最寄(降りて東) 近くのローマ・ルナ・パーク(遊園地)に大観覧車があるらしいので目印?(ミカエラさん)
    → トレ・フォンターネ教会があるトレ・フォンターネ地区の辺りには城壁がないので、ロケ地ではないのかも。
  • ヴェネチア広場からヴェスタ神殿に向かう、モルガーナ通り沿い
    → モルガーナ通りは、ヴェネツィア広場とヴェスタ神殿を結ぶ通りではなく、ポリクリニコ通りに続く通り。(ヴェネツィア広場とヴェスタ神殿を結ぶ通りはペトロセッリ通りといって、カンピドリオの脇にあたり、古代ローマの中心地。映画に見られるようなアウレリアーノの城壁はない。)実際のモルガーナ通りにも壁はない。 (はにわさん)
  • テルミニ駅のすぐ北側にあり、駅周辺の再開発で壁ごと取り壊されてしまった。(テルミニ駅の旧駅舎取り壊しは1948年、新しい駅舎の落成は 1950年、映画公開は1953年)
  • 似たような壁はトラステベレ通りやプレネスティーナ通り等、ローマ 市内にいくつか残っている。願い事が叶うと、お礼に "GRAZIE PER RICEVUTO"と 書いた石版を壁に埋め込むのだそう。

Viale del Policlinico の城壁に残る”跡”
マリア像があった場所だろうか?

情報のひとつに基づいて、Policlinico通りを訪れてみる。

城壁にそって歩くと、壁にはマリア像ではなく祠があり、その中に聖母子のモザイクがある。映画で見られたような、御札(石版?)はないが、祈りを奉げる人は絶えないらしく、花束がいくつか供えられている。

また、同じ城壁の祠から数メートルの場所に、なにかを取り外したような跡が残っている。これが、もしかしたら、映画撮影時にマリア像があった場所なのかもしれない。

だが、この地域が爆撃にあったサン・ロレンツォ地区だということ以外は、ロケ地であることを裏付ける情報がない。

1999.10

有力情報が寄せられました!!
  • 先日NHKハイビジョンテレビで「私のローマの休日」という番組をやっていました。そこである女性がロケ地を訪れるのですが、そのとき、祈りの壁はViale del Policlinicoと紹介され映画の映像と、その通りを続けて映しておりましたので、ここで間違いはないのではないかと思います。そこにあった石版は、Santuario della Madonna del Divino Amoreという教会にあると伝えていました。ローマから車で1時間くらいのところとのことです。とても綺麗な教会です。(hiroさん)
  • Santuario della Madonna del Divino Amoreはローマでは有名な巡礼地で、毎年、巡礼地とローマをろうそく行列が練り歩く行事もあります。祠の聖母の名前(Mater Divini Amori's)はラテン語、巡礼地(Madonna del Divino Amore)はイタリア語ですが、確かに意味は同じですね。 (はにわさん)

2001.6

NHKで放映されたとなるとViale del Policlinicoで、ほぼ間違いはないのでしょう。でも、まさかこのページが情報源だなんてことはありませんよね?!

どなたか「祈りの壁」の位置について情報をお持ちの方はいらっしゃいませんか?

また、Policlinico通り以外の”壁”へでかけた方はいらっしゃいませんか?

情報・写真等お持ちの方は、掲示板メールにてご連絡くださいませ。
このページに反映させていきたいと思います。

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