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忘れてはいけないこと 〜 戦争のつめあと

無防備都市

戦争は、前線で戦う兵士たちだけではなく、町で暮らす市民たちにも容赦なく襲いかかるもの。レジスタンスの活動をする男たち、彼らをかくまうアパートの住民、レジスタンスの連絡役を引き受ける神父、ゲリラ的活動を続ける子どもたち。戦時下の緊迫したひとびとの生活を、市民の目線で描きます。これらが、作り話ではなく、事実であるということを忘れてはいけません。ネオ・レアリズモの傑作であり、ドキュメンタリー・タッチのこの作品は、製作開始時には記録映画としてスタート(つまり、戦争直後)したものを、劇映画に変更したという経緯があります。

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サン・ロレンツォの夜

子どもの視線は、時に現実をファンタジーに変えてしまうことがあります。戦争は本来悲惨なものであり、それは戦場にいる兵士だけではなく、一般の人々の上にものしかかってくるもの。 チェチリアにとっては、解放軍(米軍)と接触をはかるべく村を出た人々との逃避行が、ピクニック同然の楽しいことだったのです。 しかし現実には、同胞同士が敵味方に分かれて殺し合いを演じることになり、幼いチェチリアにも銃口が向けられます。第二次大戦末期に内戦状態になったイタリアの現実が、そこにあります。

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ライフ・イズ・ビューティフル

ユダヤ系の人々を迫害した、ナチス・ドイツの人種政策による悲劇は、イタリアでも例外なく起こりました。 収容所に囚われた絶望的な状況のなかでも、我が子を守ろうとする親の気持ちに変化はありません。 我が子ジョズエが、ドイツ軍に目をつけられることなく、この状況を怖がることなく、解放される日を迎えられるよう、グイドはある”嘘”をつきます。悲しいまでに嘘をつきとおすグイド。おどけて歩く彼の姿に、二度と繰り返してはならない戦争の愚かさを感じます。生きるというあたりまえのことが難しかった時期であっても、「人生は美しい」ということを忘れたくはないものです。

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遥かなる帰郷

捕らえられていたユダヤ系の人々が開放されるところから、話が始まるのが、この作品。 解放されても、ホロコーストの事実を忘れないためにと、プリモはユダヤ人の印である六芒星が縫い取られた服をあえて着るのです。アウシュビッツからトリノまでの道のりのほとんどを、歩いて帰郷することになるプリモ。 その途中で出会う人々との交流が彼の心を癒します。 自由を再び手に入れたとはいえ、腕に刻まれた6桁の番号は消えずに残ります。 主人公、プリモ・レヴィの自伝の映画化です。

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エーゲ海の天使

戦場を舞台とした作品の中でも、異色なのはこの”エーゲ海の天使”。 兵士たちが降り立った島は、戦争に男たちを取られてしまい、女と老人と子どもだけが残された島だったのです。 通信手段を失ってしまった彼らと、男手が必要だった島の人たちの間に、奇妙な信頼関係が生まれ、彼らはこの島で暮らすことになります。前線から離れた孤島での生活は、のどかなもので、海の向こうで戦う人々がいることを忘れさせるほどでした。事実、島の外と内とでは、流れる時間の速さが違っていたかのように、彼らは現実から取り残されてしまっていたのです。自分が傷ついたり、近しい人を失ったりするだけが、戦争のもたらす悲劇ではないのです。

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