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文学への誘い〜文学作品が原作の映画

* 作品名のあとのカッコ内は著者名です。

薔薇の名前(ウンベルト・エーコ) イタリア文学

最初に取り上げるのは、記号論のウンベルト・エーコの作品。ボローニャ大学で教鞭をとる彼の講義は難解で評判が良くないそうですが、この作品は映画も原作も比類ないおもしろさ。原作のほうは、歴史的・宗教的バックグラウンドの知識があれば理解しやすいのですが、そうでないかたは、先に映画をご覧になることをおすすめします。映画は原作をほぼ忠実に映像化、省略する部分もストーリーに影響が出ないように、配慮されています。

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から騒ぎ (シェークスピア) シェークスピア

シェークスピアをはじめとする英国の作家による作品には、イタリアを舞台としたものが意外と多くあります。 はずせないのは「ロミオとジュリエット」。 ゼフィレッリは原作を忠実に映像化しているので、シェークスピアのお膝元イギリスでも、学生にシェークスピアへの興味を抱かせるため、導入部分でこの映画を見せることがあるといいます。一方、「から騒ぎ」では、ケネス・ブラナーは、舞台をシチリアからトスカーナに移して映像化。のどかなトスカーナの風景とともにセリフの妙を楽しみたい作品です。

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魅せられて四月 (エリザベス・フォン・アーニム) 陰のイギリスと陽のイタリア

制約の多い厳格な社会(イギリス)に生活する人々が、イタリアを訪れることで、その枷が外れて行動的になり、以前とは違う自分になる・・・・というモチーフも、少なくはありません。(他にも「鳩の翼(ヘンリー・ジェイムズ)」「ある貴婦人の肖像(ヘンリー・ジェイムズ)」「眺めのいい部屋(E.M.フォスター)」で、同じようなモチーフが見られます。)陰のイギリスと陽のイタリアの対比。その行動の結果、彼らにもたらされる運命は、優しいものばかりではないのですが。各作品を見比べると、イギリス人がイタリアに対して抱いている思いが見えてくるかもしれません。

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父・パードレ・パドローネガヴィーノ・レッダ ノンフィクション

この作品は、言語学者、ガヴィーノ・レッダの自伝の映画化です。本人もプロローグ・エピローグの部分に登場しています。文盲であり、また、標準イタリア語を知らなかったレッダが、何をきっかけに、どのようにして言語学者への道を歩むのか。荒涼としたサルデーニャを背景に描かれています。
また、「
遥かなる帰郷(プリモ・レヴィ)」では戦時中、ユダヤ系であったために捕虜になったプリモ・レヴィの経験を映像化しています。なお、原作者のレヴィは、映画化決定の知らせに喜びながらも、その知らせの直後に命を絶ったそうです。理由は明らかにされていません。

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ベニスに死す (トマス・マン) 実在の人物がモデルの作品

また、ノンフィクションではありませんが、実在の人物をモデルにした作品もいくつかあります。有名なヴィスコンティの作品「ベニスに死す」は、原作では、作曲家マーラーをモデルとしながらも、主人公を作家として描いた作品です。これを、ヴィスコンティは、もう一度逆転させ、作曲家の映画に仕上げました。
一方、主演の
マッシモ・トロイージの急逝で彼の遺作となってしまった「イル・ポスティーノ(アントニオ・スカルメタ)」は、実在の詩人パブロ・ネルーダをモデルとした作品です。原作では、マリオよりネルーダが先に亡くなってしまうなど、細部に違いが見られます。また、舞台設定も、映画化にともなってチリ沖の小島から、イタリアのプローチダ島に変更されました。

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